【DIY】まな板(木材)の手入れ用の油(オイル) 乾性油 半乾性油 不乾性油

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まな板の手入れ用の油について調べたことをまとめる。

油の種類について

油には、構成する分子の二重結合の量(ヨウ素価)で、乾性油、半乾性油、不乾性油に分類される。
ヨウ素は「二重結合(C=C)」に付加反応する為、二重結合の量を調べる為に使われる。
なので、ヨウ素価と言っても油にヨウ素が入っている訳ではない。

分類ヨウ素価具体例
乾性油130~亜麻仁油・桐油・芥子油・紫蘇油・胡桃油・荏油・紅花油・向日葵油など
半乾性油100~130コーン油・綿実油・胡麻油・大豆油など
不乾性油~100オリーブ油・扁桃油・落花生油・椰子油・椿油・菜種油など
Wikipedia参照

不乾性油は、いつまでも乾燥せず、べたべたし続ける。
乾性油は、乾燥と言っても蒸発するのではなく、二重結合同士が酸化により結合し、高分子化することで固体となる。(=乾燥したように感じる)
半乾性油はその中間。

手入れ用に使うべき油とワテの考察(何のために油を塗るのか?)

ワテはヨウ素価が高く、安く手に入るアマニ油を選んだ。

正直なところ、ネットで調べた浅い知識では、何が正解なのかは良くわからない。
なので自分で使って確かめることにする。

基本的には、乾性油を推している解説が多い。
乾性油が高分子化で固体となることで、膜となる。だから良い、という理論だ。

不乾性油を推している解説もある。
食用油なら何でも良いという解説もある。

ポイントになるのは、何のために油を塗るのかだと思う。
恐らく下記2点のいずれかだと思う。

①表面に膜を作り、内部へのダメージを抑える。または内部からの成分流出を防ぐ。
②木材が元々持っていたが、抜けてしまった油分を継ぎ足してやる。

目的が①であれば、乾性油が良いことになる。
しかし、ニスでも良いのではないか、むしろニスの方が良いのではないかと思う。
(もちろん、食器などに使ってよいニスを選ぶ)

目的が②であれば、不乾性油が良いことになる。
革製品の手入れで塗る油(オイル)の目的は②である。

尚、乾性油(ヨウ素価が高い)は、不飽和脂肪酸(二重結合をもつ脂肪酸)が多いのであって、飽和脂肪酸(二重結合をもたない脂肪酸)も含まれている。
なので、木材に油分を与えつつ、膜も形成することになる。

つまり、ワテの結論としては「乾性油を使えばよい」となった。

化学的な考察 「油」とは何者なのか

「油」の定義は、学説的にも定まっていない。
だから、何を「油」と呼んでいるかで話の前提が変わってしまう。

大学等で使われている教科書ですら、この辺りがフワフワしている。
たぶん、人類はまだ答えを見つけていないのではないかと思う。

一般的には脂質的なものの内、常温で液体状態のものを「油」と呼び、固体状態のものを「脂」と呼ぶ。
脂質的なものと書いたが、「脂質」の定義がこれまた定まっていない。

笑えるよね。

マクマリー有機化学等の教科書を参考に、ワテなりにまとめてみた。

「油」「油脂」「脂質」等と呼ばれているような物質は、下記のような化学式で表される。
グリセリン(CH2OH-CHOH-CH2OH)と脂肪酸(R-COOH)がエステル結合したものである。

この脂肪酸(R-COOH)の「R」がどうなっているかで、その「油」が何であるかが決まる。
「R」の中に不飽和脂肪酸(二重結合をもつ脂肪酸)が多ければ多いほど、乾性油ということになる。

脂肪酸には100種類以上、天然には約40種が確認されているが、特に一般的な脂肪酸を下記に示す。

分類名称化学式炭素数C=C結合の数
(二重結合)
飽和脂肪酸ラウリン酸CH3(CH2)10COOH120
飽和脂肪酸ミリスチン酸CH3(CH2)12COOH140
飽和脂肪酸パルミチン酸CH3(CH2)14COOH160
飽和脂肪酸ステアリン酸CH3(CH2)16COOH180
飽和脂肪酸アラキジン酸CH3(CH2)18COOH200
不飽和脂肪酸パルミトレイン酸CH3(CH2)5CH=CH(CH2)7COOH161
不飽和脂肪酸オレイン酸CH3(CH2)7CH=CH(CH2)7COOH181
不飽和脂肪酸リノール酸CH3(CH2)4(CH=CHCH2)2(CH2)6COOH182
不飽和脂肪酸リノレン酸
CH3CH2(CH=CHCH2)3(CH2)6COOH
183
不飽和脂肪酸アラキドン酸CH3(CH2)4(CH=CHCH2)4(CH2)2COOH204
不飽和脂肪酸EPA
エイコサペンタエン酸
CH3CH2(CH=CHCH2)5(CH2)2COOH205
不飽和脂肪酸DHA
ドコサヘキサエン酸
CH3CH2(CH=CHCH2)6CH2COOH226

簡易的ではあるが、下に行けば行くほど二重結合が多いので、下の脂肪酸の割合の多い油はよりヨウ素化が高くなる。

魚に含まれていて健康に良いとされているEPAやDHAも、こうやってみると単なる油(脂肪酸)の一種である。
本当に健康に良いのかどうかは不明。

代表的な油について成分を調べてみた。
同じ油でも製法や販売元で割合は変わるし、おそらく製造時期やロット間のバラつきもありそうだ。
ざっくりのイメージとして捉えれば良いかと思う。

動物性動物性動物性動物性植物性植物性植物性植物性植物性
不乾性油半乾性油乾性油
ラードバターミンク人脂やし油サラダ油オリーブ油ごま油アマニ油
ラウリン酸2150
ミリスチン酸110331831
パルミチン酸2525162583595
ステアリン酸15103823563
アラキジン酸
パルミトレイン酸151
オレイン酸50255146632804020
リノール酸6591014574520
リノレン酸1850
アラキドン酸
EPA
DHA

動物性の油脂は固体(脂)で植物性の油脂は液体(油)のイメージがあるが、単に動物性の油脂は飽和脂肪酸の割合が高いからということになる。

尚、人間からも脂(油?)は取れるハズなので確認してみた。
革の手入れで有名なミンクオイルと、比較するとよく似た傾向が見られる。
人間様も所詮動物ということだね。

ヤシ油は植物性だが飽和脂肪酸の割合が高いので固体である。
ヤシ脂とは言わないんだね。ここら辺はイメージの問題だね。

一般家庭で使う油と言えばサラダ油だと思うが、どうやら様々な植物性の油から独自に混合し作ったものらしい。
なので、不乾性油のサラダ油を作ることも出来るし、乾性油のサラダ油を作ることも出来る。
が、一般的に料理に使うには、味が落ちにくい(酸化しにくい、二重結合が少ない)ように作る必要があるので、結果として一般的には不乾性油となると予想する。

代表的な不乾性油であるオリーブ油が、二重結合を持つオレイン酸を80%も含んでいることに驚いた。
二重結合を多少持つ程度では、乾性は全然ダメってことなんだね。

代表的な半乾性油であるごま油も、納得な感じの成分。

代表的な乾性油であるアマニ油は、二重結合を3つ持つリノレン酸の割合が飛び抜けて高い。
なるほどって感じ。

その他 乾性油について

ヨウ素価について化学成分オンラインヨウ素価の解説と植物油脂のヨウ素価一覧にまとまった情報があったので参照させていただいた。

油の種類ヨウ素価
ダイズ油114 – 138
ブドウ種子油107 – 143
ルリジサ種子油130 – 155
ヒマワリ種子油113 – 146
サフラワー油120 – 150
アマナズナ種子油140 – 170
ザクロ種子油161 – 170
ククイナッツ油160 – 175
クロフサスグリ種子油145 – 185
カニナバラ果実油170 – 190
アマニ油168 – 190
プルケネチアボルビリス種子油180 – 200
月見草油195 – 199
化学成分オンライン参照

月見草なんて、爽健美茶のCMでしか聞いたことが無い。
プルケネチアボルビリス種子油とは何処の国の言葉だろうか?

ここは、安く手に入るアマニ油でいいでしょ!

化学成分オンラインサイトによるアマニ油の成分内訳は下記のようになっていた。

脂肪酸名脂肪酸の種類炭素数:二重結合数比率(%)
オレイン酸不飽和脂肪酸C18:114.5
リノール酸不飽和脂肪酸C18:215.4
リノレン酸不飽和脂肪酸C18:360.6
パルミチン酸飽和脂肪酸C16:06.6
ステアリン酸飽和脂肪酸C18:02.9
化学成分オンライン参照

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