
鍋を買うにあたって、いろいろと調べてみたことをまとめる。
鍋 材質の種類
鍋の材料として代表的なものについて、鍋の性能として重要な熱伝導率の高い順に並べた。
「テフロン鍋」や「ホーロー鍋」というのもあるが、あれは表面加工の話なので、別途扱いとする。
基本的には「テフロン鍋」の本体は「アルミニウム」、「ホーロー鍋」の本体は「鉄」であることが多い。
どの材質の鍋が良いのだろうか?
直観では「鉄の鍋」が良いように感じる。
まあ直観というか、一般論的な感じだよね。
「やっぱ鉄の鍋っしょ」みたいなところあるよね。
材料 | 化学式 等 | 熱伝導率 [W/m·K] [J/s·m·K] | 比熱 [kJ/kg·K] | 密度 [kg/m3] | 比熱×密度 (熱容量) [kJ/K·m3] | 電気伝導率 [S/m] |
銅 | Cu | 386 | 0.39 | 8960 | 3449 | 59.5 × 10^6 |
アルミニウム | Al | 204 | 0.90 | 2700 | 2430 | 37.7 × 10^6 |
鉄 | Fe | 67 | 0.46 | 7870 | 3628 | 10.0 × 10^6 |
チタン | Ti | 17 | 0.53 | 4540 | 2397 | 2.38 × 10^6 |
ステンレス | Fe:74,Cr:18,Ni:8 | 16 | 0.50 | 7820 | 3925 | 1.35 × 10^6 |
石英ガラス | SiO2 | 1.4 | 0.71 | 2210 | 1569 | 1.33 × 10^-18 |
陶器 | 1.4 | 0.80 | 2400 | 1920 | 3.33 × 10^-15 |
先に書いてしまうが本物の「ステンレス」の鍋は、なかなか手に入らない。
大抵「多層ステンレス」となっている。
「多層ステンレス」は主に外側はステンレス、内側はアルミになっている。
ステンレスのメンテ性と、アルミの熱伝導率の良いとこどりのイメージである。
「ステンレス100%」の鍋がなかなか手に入らない、それはステンレスの熱伝導率が低く、鍋として使えない(使いにくい)からである。
熱伝導率と比熱について
ネットで鍋について調べると、「熱伝導率」と「比熱」の区別が付いていないというか、勘違いしているような記事が多い。
ワテも混乱してきたので、一度まとめる。
どちらも「温まりやすさ」「冷めやすさ」で表すことが出来るのが混乱の元だと思う。
「熱伝導率」が高いと、「鍋に入れた食品が温まりやすく冷めやすい」。
「比熱」が低いと、「鍋が温まりやすく冷めやすい」。
「熱伝導率(W/m·K)」は1メートル先を1ケルビン上昇させるのに何ワット必要かを示している。
「比熱(kJ/kg·K)」は1キログラムを1ケルビン上昇させるのに何ジュール必要かを示している。
「比熱」は非常にわかりやすいが、「熱伝導率」がいまいちピンと来ない。
「比熱」に合わせて、わかりやすく単位を揃えることにする。
「W=J·s」なので「熱伝導率(J/s·m·K)」と表すことが出来る。
「熱伝導率(J/s·m·K)」は1秒間に1メートル先を1ケルビン上昇させるのに何ジュール必要かを示している。
熱伝導率は高い方が良いのか?
鍋の性能として重要と書いたが、結局のところ高いほど良いのか、低いほど良いのか?
ネットで調べると、大体「熱伝導率が高いから良い」ということが描かれている。
いろいろと考えたところ、基本的には「熱伝導率は高い方が良い」と言えそうである。
極論で考えてみる。
熱伝導率がゼロだとどうなるだろうか?
熱伝導率はその物体内での熱の移動のしやすさである。
つまり熱が一切移動しない。
火の熱が食品に到達しないことになる。
熱伝導率がゼロは、鍋として完全に機能しない。
熱伝導率が低かったらどうなるか。
フライパン全体はなかなか温まらず、火の当たっている部分だけが熱くなる。
結果、焼きムラが発生する。
なんとなく駄目なことがわかる。
熱伝導率が無限に高かったらどうなるか?
火の当たった部分の熱が瞬時にフライパンの隅まで到達する。
焼きムラなく、しっかり焼けることになる。
ここまでだと、熱伝導率は高いほど良いような感じがする。
ただし、熱伝導率が低ければ、食品に達した熱が外部に逃げにくい。
加熱に時間が掛かるが、その後冷めにくい。
土鍋がそうである。
熱伝導率が高ければ、ヒートシンクの如く熱が外部に逃げていく。
調理後、すぐに鍋から料理を移動させるのであれば、熱伝導率は高いほど良いと言っていいかと思う。
比熱は高い方が良いのか?
鍋として意味の強いのは「熱容量(比熱×密度)」なので、そちらを考える。
熱容量が高ければ、温めるのには時間が掛かってしまうが、冷め辛い。
熱容量が低いと、鍋に食材を入れた時に食材に熱を奪われ、鍋の温度が下がってしまう。
熱量量が高ければ、多少冷たいものを入れても、鍋の温度が少ししか下がらない。
基本的には比熱は高い方が、鍋として優れていると思う。
ただし食材を追加するときに火力を強くすれば、熱伝導率の低さをカバー出来るように思う。
鍋の厚さをアップさせることで、熱容量を稼ぐことも出来る。
密度について
重さ。
アルミがとにかく軽くて使いやすい。
安くて、軽いので、なんかこう、初心者感がある。
でも熱伝導率は高いし、基本的にはアルミでいいんじゃない?
というか、アルミがいいんじゃない?
電気伝導率について
鍋の性能とは関係ない。
金属においては熱伝導率と電気伝導率は比例する。(熱も電気も、自由電子が運ぶ為)
本当に比例しているなという自己満。
ここまでの評価
熱伝導率も熱容量も大きな、「銅」が輝いて見える。
ただし、鉄よりも重い。
熱伝導率が大きくて軽い、「アルミ」も良く見える。
玄人感のある「チタン」は、熱伝導率、熱量、密度、全てアルミに劣った、ゴミに見える。
鍋 材料の種類について再評価
上の表は、正直カッコ良く科学感出したくて作ったところがある。
取り扱いの指標を加えて、再評価してみた。
材料 | 化学式 等 | 熱伝導率 | 重さ | 熱容量 | メンテ 面倒度 | ワレる度 |
銅 | Cu | ◎ | × | 〇 | △ | 〇 |
アルミニウム | Al | ◎ | 〇 | △ | 〇 | 〇 |
鉄 | Fe | 〇 | × | 〇 | × | 〇 |
チタン | Ti | △ | △ | △ | 〇 | 〇 |
ステンレス | Fe:74,Cr:18,Ni:8 | △ | × | 〇 | 〇 | 〇 |
石英ガラス | SiO2 | × | △ | × | △ | × |
陶器 | × | △ | △ | △ | × |
こう見ると、やはりアルミが一番よく見えてくる。

でも、こういう絵を見ると、鉄が欲しくなる。
購入した鍋・フライパン

最終的に、鉄の鍋を購入した。
コメント