イギリスは「硬水」というイメージがあるが、実際にはロンドンとその周辺が「硬水」であり、スコットランド、ウェールズ、コーンウォール等は「軟水」である。
下記リンクで住所を入力すれば、その場所の水の具合が調べられる。
「硬水」「軟水」の定義
硬水とは、カルシウムやマグネシウムの金属イオン含有量が多い水のこと。
Wikipedia
水の硬度は{カルシウム濃度 (mg/L)×2.5 + マグネシウム濃度 (mg/L)×4.1}で炭酸カルシウム(CaCO3)含有量に近似される。
厚生労働省ではその量が60mg/L以下の水を軟水、60~120mg/Lを中硬水、120~180mg/Lを硬水、180mg/L以上を超硬水と定義している。
どのような条件で「硬水」「軟水」になるのか
ゆっくりと土壌のミネラルが溶けだす
日本は基本的に軟水である。
日本は山が高く、河川の勾配がきつい。
カルシウムやマグネシウム等のミネラルが溶ける前に、海に流れ出してしまうという理屈の様だ。
ということは逆に、長い河川(地下水等を含む)をゆっくりと流れれば、ミネラルが溶け出し「硬水」になるはずである。
イギリスの主な河川と硬水軟水マップの比較
河川名 | 英語表記 | 全長 km | 全長 mile | 流量 m³/s | 流域面積 km² | 所在地 | |
1 | セヴァーン川 | River Severn | 354 | 220 | 61 | 11,420 | ウェールズ/イングランド |
2 | テムズ川 | River Thames | 346 | 215 | 66 | 12,935 | イングランド |
3 | トレント川 | River Trent | 297 | 185 | 84 | 10,435 | イングランド |
4 | グレートウーズ川 | River Great Ouse | 230 | 143 | 12 | 3,400 | イングランド |
5 | ワイ川 | River Wye | 215 | 135 | 3 | 4,136 | ウェールズ/イングランド |
6 | ユア川/ウーズ川 | River Ure/River Ouse | 208 | 129 | イングランド | ||
7 | テイ川 | River Tay | 188 | 117 | スコットランド | ||
8 | スペイ川 | River Spey | 172 | 107 | スコットランド | ||
9 | クライド川 | River Clyde | 172 | 106 | スコットランド | ||
10 | ネン川 | River Nene | 161 | 100 | イングランド | ||
11 | ツイード川 | River Tweed | 155 | 96 | スコットランド/イングランド | ||
12 | エイヴォン川 | River Avon | 154 | 96 | イングランド | ||
13 | エデン川 | River Eden | 145 | 90 | イングランド | ||
14 | ディー川 | River Dee | 140 | 87 | スコットランド | ||
15 | ウィザム川 | River Witham | 132 | 82 | イングランド | ||
16 | テム川 | River Teme | 130 | 81 | ウェールズ/イングランド | ||
17 | ドン川 | River Don | 129 | 80 | スコットランド | ||
18 | バン川 | River Bann | 122 | 76 | 北アイルランド | ||
19 | エイヴォン川 | River Avon | 120 | 75 | イングランド | ||
19 | リブル川 | River Ribble | 120 | 75 | イングランド | ||
21 | タイン川 | River Tyne | 118 | 73 | イングランド | ||
22 | ダーウェント川 | River Derwent | 115 | 72 | イングランド | ||
23 | エア川 | River Aire | 114 | 71 | イングランド | ||
23 | ニス川 | River Nith | 114 | 71 | スコットランド | ||
25 | ティーズ川 | River Tees | 113 | 70 | イングランド | ||
25 | マージー川 | River Mersey | 113 | 70 | イングランド | ||
25 | メドウェイ川 | River Medway | 113 | 70 | イングランド | ||
28 | ディー川 | River Dee | 112 | 70 | ウェールズ/イングランド | ||
28 | ドン川 | River Don | 112 | 70 | イングランド |
濃い青で塗った河川が、イギリス河川の全長トップ5である。
イングランドに集中していることがわかる。
TOPの「軟水硬水マップ」と重ねてみる。
「河川」と「軟水硬水」が大きく関係していると言えそうだ。
比較的長い川の周辺は「硬水」や「中硬水」となっている。
しかしながら疑問は残る。
ゆっくり流れる間に、少しずつミネラルが溶けだしてくるのであれば、なぜ川上の時点で既に「硬水」なのか?
一番長い「セヴァーン川」は、なぜ「硬水」ではなく「中硬水」なのか?
そもそも土壌にミネラルが多い
土壌にミネラルが多ければ、当然だがそこにある水にも多くのミネラルが溶け出す。
硬水のエリアが、白亜系(白亜紀)のエリアと合致している。
「白亜」は「炭酸カルシウム(CaCO3)」の意味で、世界の「炭酸カルシウム」の大半は「白亜紀」に出来た。
いや逆か。
世界の「炭酸カルシウム」が出来た時代を「白亜紀」と名付けた。
白亜紀とは、地球の地質時代の一つで、約1億4,500万年前から6,600万年前を指す。
Wikipedia
この時代は、前のジュラ紀から続く中生代の最後の時代。
次の時代は、新生代古第三紀の暁新世。
「白堊」の「堊(アク; アと読むのは慣習)」の字は粘土質な土、すなわち石灰岩を意味し、石灰岩の地層から設定された地質年代のため白堊紀の名がついた。
また「白亜」の「亜」は、「堊」の同音の漢字による書きかえ。
こうしてみると「河川の長さ」よりも、そもそも「土壌にミネラルが多い」かどうかで決まってしまうのかもしれない。
この検証をするために、日本における硬水軟水の確認をしてみた。
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