「硬水」「軟水」の定義
硬水とは、カルシウムやマグネシウムの金属イオン含有量が多い水のこと。
Wikipedia
水の硬度は{カルシウム濃度 (mg/L)×2.5 + マグネシウム濃度 (mg/L)×4.1}で炭酸カルシウム(CaCO3)含有量に近似される。
厚生労働省ではその量が60mg/L以下の水を軟水、60~120mg/Lを中硬水、120~180mg/Lを硬水、180mg/L以上を超硬水と定義している。
{カルシウム濃度 (mg/L)×2.5 + マグネシウム濃度 (mg/L)×4.1}
どこから2.5や4.1が登場したのか確認したところ、下記の通り単純な理由であった。
物質名 | 化学式 | 原子量 |
カルシウム | Ca | 40.1 |
炭素 | C | 12.0 |
酸素 | O | 16.0 |
マグネシウム | Mg | 24.3 |
炭酸カルシウム | CaCO3 | 100.1 |
カルシウムの、炭酸カルシウム換算:100.1/40.1≒2.5
マグネシウムの、炭酸カルシウム換算:100.1/24.3≒4.1
硬度の定義は、単にカルシウムとマグネシウムの炭酸カルシウム含有量に変換しただけである。
つまり質量ではなく、単純に原子の数で硬度が決まる。
カルシウムとマグネシウムの味の違いも考慮されていない。
おいしいミネラルウォーターとは
日本ミネラルウォーター教会
ミネラルウォーターのおいしさは、特定の成分が「多い、少ない」ではなくて、多種微量のミネラル成分のバランスによって決 まります。
(そのため、ミネラルウォーターのおいしさを説明するのは難しいのです。)
マクロ的には次のことが言えます。
おいしさに寄与する成分・・・プラスに働く物質が適量含まれていること。
→カルシウム、カリウム、二酸化炭素、重炭酸、溶存酸素
まずさに関係する成分・・・マイナスに働く物質。
→マグネシウム、硫酸イオン、硫化水素、マンガン、鉄、銅、亜鉛等
これらの成分は全てバランスしていることが大切です。
また、成分間の相乗作用の問題もあります。
例えば、マグネシウムは渋みに関係する成分ですが、カルシウム等とある割合で共存しますと、逆においしくなる場合もあります。
ミネラルの量は多過ぎても、また、少な過ぎてもいけません。
ミネラルを全く含まないか、またはほとんど含まないものは「気の抜けた水」になります。
また、ミネラルのバランスにもよりますが、適量のものは「まろやか」ですし、多過ぎると「苦味」「塩味」「渋み」などが出てきます。
飲む温度もおいしさに関係します。適温は10℃〜15℃(夏場は10℃〜20℃)
そのほか、体調、外気温度・湿度なども無関係ではありません。
そもそも水の硬度の定義自体が「石鹸の洗浄効果を阻害する能力を示したもの」である。
硬度だけでその水の味を決めることは出来ない。
「軟水の割に苦い」とか「硬水の割に甘い」とか、あるかもね。
「一時硬水」と「永久硬水」
「カルシウム:Ca2+」や「マグネシウム:Mg2+」に対して、陰イオンが「炭酸水素イオン:HCO3–」の形で含まれている場合は、煮沸するだけで「炭酸カルシウム:CaCO3」や「炭酸マグネシウム:MgCO3」として沈殿する。
Ca(HCO3)2 → CaCO3↓ + H2O + CO2
Mg(HCO3)2 → MgCO3↓ + H2O + CO2一方、陰イオンが「Cl–」や「SO42-」などの強酸のイオンを含む硬水は、煮沸しても軟水とはならないので、永久硬水という。
化学の新研究等
一時硬水は煮沸させるだけで「炭酸カルシウム:CaCO3」等として析出する。
当然、炭酸カルシウムは水に溶けないから、析出したのだ。
では、なぜ水に溶けない炭酸カルシウムが、水に溶けて硬水となっていたのか?
Ca(HCO3)2 → CaCO3↓ + H2O + CO2
この式からわかるように、二酸化炭素が発生している。
逆に二酸化炭素と一緒にであれば炭酸カルシウムを溶かすことが出来る。
CaCO3 + CO2 + H2O → Ca(HCO3)2
天然の硬水はほとんどが一時硬水と思われる。
一時硬水であるからこそ、ポット等にライムスケール(炭酸カルシウムのカッコいい言い方)が溜まる。
つまり硬水が生まれる条件には「炭酸カルシウム」「二酸化炭素」の両方が必須となる。
ヨーロッパでは、天然の炭酸水が採れるのと、硬水が多いのは関係があるのかな?
ネットで軽く調べてみた結果は「硬水の水」「軟水の炭酸水」はどちらも存在する。
存在するものの「軟水の炭酸水」は珍しいらしい。(※天然水での話)
そしてその珍しい「軟水の炭酸水」は日本には「福島県奥会津金山町」と「大分県由布市庄内町」の2か所しかないらしい。
石鹸との反応
先にも書いたが、そもそも硬水の定義は「石鹸の洗浄効果を阻害する能力を示したもの」である。
「カルシウム:Ca2+」や「マグネシウム:Mg2+」が石鹸の分子と次のように反応して不溶性の塩を形成する。
2RCOO– + Ca2+ → (RCOO)2Ca↓
化学の新研究等
Mg(HCO3)2 → MgCO3↓ + H2O + CO2
ミネラルとは
ミネラルは、一般的な有機物に含まれる4元素(炭素・水素・窒素・酸素)以外の必須元素。
Wikipedia
蛋白質、脂質、炭水化物、ビタミンと並び五大栄養素の1つとして数えられる。
日本では13元素(亜鉛・カリウム・カルシウム・クロム・セレン・鉄・銅・ナトリウム・マグネシウム・マンガン・モリブデン・ヨウ素・リン)が健康増進法に基づく食事摂取基準の対象として厚生労働省により定められている。
生物の種類や性別、成長段階によって必要な種類や量は異なる。
すべての要素は適度な量を摂ることが良く、欠乏症だけでなく過剰摂取も病気の原因ともなる。
ミネラルは人の体内で作ることはできないため、毎日の食事からとる必要がある。
「ミネラルは体に必要」というが、どちらかと言うと表現が逆である。
「体に必要な元素(無機物)をミネラルと名付けた」のである。
イメージとしては「ミネラル」の有機物版が「ビタミン」。
硬水は体に良いのか?
硬水にはミネラルが多く含まれる。
ミネラルは体に必要である。
であれば「硬水は体に良い」という感じがする。
でも、それなら牛乳でも飲んでおけばいいんじゃないかと思う。
硬水の成分と牛乳の成分の比較などを現在確認中。
コメント